薬事ニュース社
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>>>3年連続改定、そして「その先」<<<
 診療報酬改定で幕を開けた2014年は、2年前の改定年同様、降ってわいた年末の衆議院選挙であわただしく幕を閉じようとしているが、2年前と若干異なるのは、製薬業界の関心が選挙結果よりも延期となった消費税再引上げの行方にある点だ。安倍総理の「再度の延期はない」という言葉を信ずるならば、現行の8%から10%への引上げ時期は2017年4月。つまり、年明けから議論が本格化していくはずの16年4月の診療報酬改定と、さらにその2年後の18年4月改定の中間年に当たるわけである。
 過去、というのは消費税が3%から5%に引上げられた際のことだが、この時もちょうど改定の中間年の4月に引上げが実施され、その対応のために3年連続改定が断行された。こうした過去の経緯を踏まえ、16年からの3年連続改定はほぼ確実との見方が大勢を占めるが、業界が危惧するのは「その先」、この3年連続改定が呼び水となって、「毎年薬価改定」が既成事実化してしまうことである。少なくとも、財務省がそれを狙っているのはほぼ間違いないところだし、仮にこれが実現することにでもなれば、かねて要求している長期収載品のさらなる価格切り下げ、そして最終目標である参照価格制度も視野に、ここぞとばかりかさにかかって攻め立ててくるのは必至だろう。
 これまでのところ、厚労省は参照価格制度に対しては否定的な態度を崩していない。ただ、将来にわたって同様のスタンスを取り続けるかは不透明だ。実際、将来の有力な事務次官候補であり、経済課長経験者でもある官僚は、「自分は(次官になったら)参照価格制度をやる」と口にしたという話も耳にする。3年連続改定実施を布石とする「毎年薬価改定」の導入、そして厚労省側の幹部人事、あらゆるお膳立てとタイミングが噛み合った時には、いよいよ参照価格制度が現実味を帯びる。
(2014年12月26日掲載)