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>>>新型コロナの「5類」移行<<<
 新型コロナウイルス感染症の対策が5月8日から「5類」に移行する。医療費の公費負担や診療報酬上の特例措置などの取り扱いは3月上旬に方針を出す予定。マスク着用に関しては個人の判断に委ねることを基本とし、その取り扱いを見直す時期について加藤勝信厚生労働大臣は「できるだけ早期に示したい」との考えを示した。2020年の国内でのコロナ確認から約3年を経て、日本社会は「平時」に向けた大きな転換を迎える。
 政府は今後、これまで講じてきた様々なコロナ対策を見直していく方針だが、特に焦点となりそうなのが公費負担の取扱いだ。5類移行後は一部が自己負担となるため、受診控えなどの問題も懸念される。その一方では、防衛費増加などに伴う財政面での課題もある。政府は急激な負担増が生じないように、入院・外来医療費の自己負担分に関する一定の公費支援について、期限を区切って継続する方向性を打ち出した。
 また、ワクチンの接種体制のあり方もポイントとなる。3月まで無料で受けられるワクチン接種について厚生労働省は22年度中に方向性を示す予定だが、接種費用が自己負担となれば、これまで円滑に進んできたワクチン接種が停滞すると懸念する声も聞かれる。諸外国に比べて大きく進んだワクチン接種が、コロナウイルスの抑え込みに一定程度成功した背景を踏まえると、ワクチン接種の停滞が再び感染拡大を招く可能性も否定できない。厚労省は厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で引き続き議論を深めていく方向で、現時点では「必要な接種は引き続き自己負担なく受けられるようにする」との方針を固めている。
 加藤勝信厚生労働大臣は「コロナ対策は今後、コロナの陽性者に対して行政が様々な要請・関与を行う仕組みから、国民の自主的な取組をベースとしたものに大きく変わる」と強調した。5類移行に伴い、国や自治体による入院勧告や就業制限、外出自粛などを促す「緊急事態宣言」の発令などは無くなる。今後に向けては必要に応じたマスク着用や、うがい・手洗いの徹底といった生活習慣を含め、国民一人ひとりがコロナ対策に努めていく必要がある。
(2023年2月3日掲載)