薬事ニュース社
オピニオン

>>>「予防接種」の国民感覚<<<
 先日、インフルエンザの予防接種に付き添いをしてきた。毎年11月上旬には予防接種を受けており、価格を調べることもなく手短に済ませられる近所のクリニックに行っていたが、今年の光景はなかなか異様なものだった。まず驚いたのが10月下旬に「予定数量を終了しました」という文字に遭遇したこと。お世辞にも普段は患者数がそこまで多くないクリニックだ。厚労省が10月上旬に記者説明で懸念した通り、国民の間でワクチンの争奪戦が始まっていることを痛感した。と同時に女性のネットワーク力にも感心した。SNSやママ友などの情報元を駆使し、「いつ」「どこで」「どれくらい」「受付方法」などを即座に入手、子供のためという執念もあって数日で予防接種の機会にこぎ着けたのだ。予約を済ませて家から少し離れたクリニックに着くと長蛇の列。思わずひるんでしまったことに、ほとんど野放しの隊形で、マスク着用での屋外とはいえ2密ぐらいの状態であった。色々心配をしたが、ひとまず予防接種は済ませてその場を離れた。コロナとの同時流行が懸念されるが、今年のインフルエンザ患者数は例年と比較しても極端に少ない。コロナへのリスクを冒して予防接種を受けることの意味を考えつつ、このままのペースで進むことを願った次第だ。
(2020年11月20日掲載)