薬事ニュース社
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>>>がん検査分野の発展<<<
 国民の半数が罹ると言われているがん。かつては不治の病として恐れられていたが、技術が進歩したことで完治も夢ではなくなった。もちろん、早期発見・早期治療が重要なことは言うまでもなく、これを実現するためのより優れた技術の開発が望まれている。
 こうした中、がん発見に向けた革新的で安価な検査技術が2020年1月に実用化される見通しだ。HIROTSUバイオサイエンス開発の「線虫」を用いたがんの1次スクリーニング検査『N-NOSE』は、尿中のがんの匂いを線虫の嗅覚を用いて検出する技術。尿1滴で、早期ステージのものも含め「がん」と判定する感度は約9割と高い。がん種は特定できないものの、19年8月現在で胃がんや大腸がんなど、15種類のがんに反応することが確認されており、今後も対象がん種は増える見込みだ。
 HIROTSUバイオサイエンスでは、『N-NOSE』の健診分野での展開を視野に入れており、来年1月の実用化に向け既に生産や検体検査の体制づくりを進めている。現在、久留米市や小郡市で最終調整のトライアルが行われており、その結果に注目が集まっている。
 『N-NOSE』以外でも、がん遺伝子パネル検査が薬事承認されたり、リキッドバイオプシーの開発が進んだりと、近年のがん検査分野の発展は目覚ましい。となると、次の段階である早期治療や完治に向けた革新的な技術開発もと思うが、「気が早い」と言われようとも期待せずにはいられない。
(2019年10月18日掲載)