薬事ニュース社
オピニオン

>>>無理が通れば道理が引っ込む<<<
 北朝鮮といい中国といい、どうにもアジアの隣国は身勝手な「駄々っ子」ばかりである。こうも国家全体が我が儘放題なのは長く一党支配が続く弊害でもあろうか。
 さて、同じアジアでもこちらはれっきとした法治国家の日本、何事も法と秩序に則って……と言いたいところだが、どうも人様のことばかりあげつらってもいられないようだ。
 先だって開かれた薬食審・一般用医薬品部会。既定路線だったはずの医療用EPA製剤のOTC化に「待った」がかかった。適応の問題等でなかなか合意が得られず、関係者をやきもきさせた挙句にようやく決着、と思っていたら、土壇場でひとりの医師が強硬に反対してご破算になったのだという。これは理不尽としか言いようのない事態である。
 EPA 製剤のOTC化にゴーサインを出したのは、他ならぬ薬食審だ。すなわち政府の審議会が、正式にお墨付きを与えたということである。それを新任の委員が「おれは聞いてない」とばかりに無理を押し通すのは筋違いも甚だしい。医師個人としてどのような考えを持とうが勝手だが、科学的な根拠もなく、ただ「医師の関与なしに販売するのは認められない」という主張が通るなら、「根拠に基づく医療」が聞いて呆れる。
 厚労省も厚労省だ。現在の事務局の舵取りには、以前から関係者の多くが首を傾げていたが、強気に出られた途端に腰が引けるのでは、どこぞの国の内閣と大差ない。そういえばEPA製剤のOTC化に立ちはだかった委員は、昨年の衆院選で民主党勝利の原動力にもなった某県医師会の役員出身で、現在は日医の執行部入りした人物。どうも民主党とその周辺の人々のやんちゃぶりが目につく今日この頃であるが、でもふと思い起こすと、こちらも長く一党支配が続いていた点ではお隣さんと同じ。するとこれは政権交代の煽りか、それとも一党支配の余波なのか、考えるといささか憂鬱になる。
(2010年12月10日掲載)