薬事ニュース社
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>>>規制改革会議の実効力<<<
 政府の規制改革会議は3月8日に会合を開き、下部組織である「健康・医療」「雇用」「エネルギー・環境」「創業」のワーキンググループ(WG)で、規制改革に向けて優先的に検討する項目を決めた。「健康・医療」WGでは、「再生医療の推進」と「医療機器に関する規制改革」の2項目を最優先で議論を進め、次に「健康食品の機能性表示の容認」「医療のIT化の推進」の2項目について検討。年度内までに取りまとめを目指す方針だ。
 一方、「革新的な新薬の薬価算定ルールの見直し」「保険外併用療養の範囲拡大」といった医療・医薬品業界にとって影響の大きい事項は、優先検討項目から落選した。改革会議の岡素之議長(住友商事相談役)は「全く検討しない訳ではなく、極めて限られた時間の中で優先順位を付けただけ」と強調する。しかし、改革会議が再開直後に見せていた「岩盤のような規制の改革に取り組む」との姿勢は、若干トーンダウンした感じが否めない。
 内閣府・規制改革推進室の中原裕彦参事官は本紙などの取材に対し、優先検討事項の選定理由について「すでに厚生労働省が法案の準備を進めており、それを後押しするかたちで選定した」と説明。ある厚生労働省の幹部も「我々はこれらの分野の法案をすでに準備している。改革会議は単純にエールを送りたいだけだろう」と見通す。以前に本稿で、政府主導の会議体について「医療界が恐れる大胆な規制緩和に繋がりかねない」と書いたが、その実効力も疑わしくなってきた。
(2013年3月15日掲載)