薬事ニュース社
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>>>血圧と向き合う暖冬<<<
 気象庁の発表によると、今年の冬は北日本を除き、気温の高い暖冬になるという。それならば、衣替えもそんなに急いでやることもないかな、などと安心しきっていたところ、例年並みの寒い朝がしばらく続いた。調べてみると、暖冬といっても例年並み、あるいはそれ以上の寒い日も当然あるようで、少し考えれば分かるようなものだが、自然の事ゆえに、これはやはり油断できないものだと感じた。
 暖かい日と寒い日と、その気温差が大きいとなると、特に気をかけなければならないのは暖差リスクについてだろう。一般的に冬は、温度差の大きい場所への移動が多く、身体が温度変化にさらされて血圧が急変し、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすことが多い季節とされている。暖差リスクの解消が重要になるが、高齢者をはじめ、高血圧やメタボリックシンドロームの人などは特に注意が必要だ。
 そういえばこの高血圧、日本では現在、推定患者数が約4300万人とされている。しかも、このうち約40%は未治療であるという。高血圧という疾患が、無症状であるということが一因ではあるが、脳卒中や心筋梗塞など致死的な疾患の因子でもあり、見過ごすことはあまりにも危険だ。暖差リスクが増えるこの季節に、自身の血圧に向き合ってみるのはいかがだろうか。
(2015年12月18日掲載)