薬事ニュース社
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>>>難しすぎる教育現場のコロナか否かの判断<<<
 新型コロナウイルス感染症が感染症法の5類に移行してから数カ月が経過する中、局所的な流行、エンデミックによる感染の推移が続いている。現在の流行下で大きな影響を受けているのが、小中高の児童・生徒で、記者周辺の学校でも学級閉鎖や学年閉鎖という話は珍しくない。変異を繰り返すコロナの特性に加え、約3年間にわたって各種行事が中止または縮小といった対応が取られていたことにより、子どもたちが本来ある程度時間をかけて罹患する各感染症への接触が激減。3年振りの行事の全面再開で接触機会が増加したことも学級閉鎖等の要因でもあるという。先ほど東京都は、学校など地域教育関係者を対象としたコロナ罹患後症状に関するセミナーを開催した。コロナ後遺症などとも呼ばれ、コロナ罹患確定後3カ月ほど倦怠感や気分障害、睡眠障害などが持続する状態の総称だ。セミナーで学校関係者から寄せられた懸念は、コロナ罹患後症状と夏休み明けの気分障害等の区別が、現場レベルでは見分けがほとんどつかないことだという。コロナ罹患後症状の治療方法についても、解熱鎮痛剤を投与するなど、通常のかぜ症状との違いはない。医療関係者から指摘されたのは、児童・生徒がコロナ罹患後症状を訴える場合、4人に1人は別の疾患であり、発達障害や精神疾患なども潜んでいることだ。教育現場への呼びかけで印象的だったのは、「できなくなったことより、できることにフォーカスを当てて欲しい」との言葉で、最初からコロナのせいと決めつけることは、かえって児童・生徒の適切な治療機会を遠ざける結果になると訴えた。コロナは当たり前の疾患であることが多少浸透しつつあるものの、学校に“来ない・行けない”の判断について、ウィズコロナの時代となり教育現場は改めてその難しさに直面していると言えそうだ。
(2023年10月13日掲載)