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>>>新型インフルエンザとスペイン風邪<<<
 感染症情報センターによると新型インフルエンザ「ブタ由来インフルエンザA/H1N1」の感染者数は5月11日15時の時点で、世界30カ国4694例、死亡は53例とのこと。世界保健機関(WHO)は、新型インフルエンザが世界的に大流行するまでの警戒レベルを6段階(フェーズ)に分けており、今回のインフルエンザについては「複数のヒトからヒトへ感染の集団発生は確認されたが、限定の地域」を示すフェーズ5に引き上げた。なお、フェーズ6が世界的大流行(パンデミック)を意味する。
 このウイルスは、1918年当時の人口約18億人の1/3が感染し、約5000万人が死に至ったスペイン風邪と同様の亜種のウイルス。最初の流行は比較的ゆるやかに始まったが、第2波、第3波と感染のピークが訪れ、急激に感染が拡大した。また、当時はインフルエンザウイルスの病原体が不明で、人々にとっては新興感染症であり、免疫を持つ人がいなかったため、パンデミックとなったともいわれる。
 今回発生したインフルエンザも、流行の立ち上がりがゆるやかだが、旅客機など交通網の発達から、ウイルスの伝播にはかつてない注意が必要で、感染が拡大しやすいと考えられる。しかし、医療の進歩によりヒトは、インフルエンザウイルスの病原体を明らかにし、抗インフルエンザ治療薬のタミフルやリレンザを得ている。治療薬があるとは言え、まずは手洗いや十分な睡眠、ストレスをためすぎないなど健康を維持することに加え、インフルエンザ罹患者との接触を避けるなどの予防が大切なのは言うまでもない。
(2009年5月15日掲載)