薬事ニュース社
オピニオン

>>>サクラヨイ<<<
 3月に入り、桜の季節がいよいよ近づいてきた。咲き誇り、舞い散る姿には、日本人の多くが見惚れ、特別な感情を抱く。古くは『万葉集』にも桜を愛しむ歌が読まれており、歌聖と称えられる山部赤人などは、「あしひきの山桜花日並べてかく咲きたらばいたく恋ひめやも」と歌い、盛りの短さと、それゆえの愛慕の情を表している。日本人の桜に対する独特の感性は、今も昔もあまり変わっていないようだ。
 このような話をしていると、開花情報が非常に気になってくるが、気象情報会社ウェザーニュースの2月の発表では、今年の桜(ソメイヨシノ)の開花は、早いところでは3月20日頃になると出ていた。桜の開花を巡って、多くの人が一喜一憂するのもこの季節の風物とといえよう。
 最近話を聞き、非常に驚いたのだが、桜でもアレルギーが発生するそうだ。アレルギーの代表的なものに花粉症があるが、桜もこの範疇に入るという。確かに、桜といえども花を咲かせるのだから、花粉症の原因となっても当然なのだが、桜が日本人にとってあまりにも身近な花であるため、とても意外な気がした。実は、身近なところでも桜の開花を喜ぶ人を尻目に、花粉症に悩まされ、気が重い人がいたりするのかもしれない。
 桜に見とれる様を、よく「酔う」という表現を用いるが、桜にぼーっとなり、鼻水やくしゃみ、目のかゆみ、鼻つまりなどが伴う場合には、サクラヨイではなくアレルギーを疑ってみることも必要といえそうだ。
(2009年3月6日掲載)