薬事ニュース社
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>>>産官含めた業界全体での信頼回復を<<<
 後発品のGMP違反が相次いでいる。いずれも長期に渡る製造現場での不正が明らかになった。ある厚生労働省OBは「いかなる理由があろうと、製薬企業として恥ずべき行為だ」と一喝した。一方で、医療従事者らの「国策によるゆがみがついに出てしまった」という声も耳にする。言わずもがな、後発品は国民皆保険制度を持続可能なものとするため、政府の方針で使用促進が行われてきた。数量シェア80%の目標に向け市場が急激な成長を遂げる中で、各企業、対応に追い付かなかった部分がなかったとは言えない。日医工の田村社長は会見で「成長のスピードに対し、品質管理体制、人材育成および教育のスピードが対応できていなかった」と振り返った。
 近年、医薬品の品質問題事例として2016年に化血研、日本ビーシージー製造および17年に山本化学工業で、GMP違反が起きていた。厚労省はこれを踏まえ、17年6月29日に「『医薬品に係る立入検査等の徹底について』の一部改正について」の通知を都道府県宛に発出し、「予定調和にならないよう、緊張感のある対応を」と、無通告での立ち入り調査を依頼している。それにも関わらず19年には松浦薬業、協和発酵バイオで、そして今回、小林化工や日医工で、GMP違反が起きてしまった。行政サイドも長期の不正を見抜くことができなかった。
 いかなる状況であっても製造業者・製造販売業者が製造管理・品質管理を軽んじることは言語道断で、不正が横行していた現場を擁護するつもりはない。しかし今の後発品市場は産官一体で作り上げてきたものだ。該当企業を非難するのではなく、産官含めた業界全体での、今後の医薬品品質の信頼回復に向けた取組みに期待したい。
(2021年3月12日掲載)