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>>>参院選後の“ねじれ国会”で何を生む<<<
 「改革実行力があるのは自民党だ。私たちに任せてほしい」――。そう訴えて全国行脚した安倍晋三総裁だったが、7月29日の参院選で国民が出した答えは否。自民党は惨敗し、参院で与野党が逆転する結果となった。
 与野党逆転となったのは、89年、98年に続いて今回で3度目。振り返れば、そうした与野党逆転下で成立した重要法案は少なくない。社会保障に関していえば、89年から94年にかけての海部、宮澤両内閣時代では第2次医療法改正案及び老人保健法改正案等が、98年から99年にかけての小渕内閣時代では国民健康保険法改正案が成立した。だが、成立までには少なからず紆余曲折している。特に現法の根底となっている医療提供の基本理念が規定された第2次医療法改正法案が最終的に成立したのは法案提出から2年後であった。
 安倍総理は先の通常国会で、年金法案などの重要法案を強行採決という数の論理で押し切った。そんな安倍総理の傲慢さに畏怖を覚えた国民が、先の参院選で野党に票を投じたのは想像に難くない。が、ここで懸念されるのが与野党逆転下での法案審議に対する負の影響である。前出の第2次医療法改正法案然り、継続審議で国会をまたいだり、議決せず廃案に持ち込んだりして、いたずらに法案成立を引き延ばすという野党側の常套手段には首を傾げる。その法案が国民生活を少しでも前進させるものであるならば尚更だ。
 安倍総理は8月末にも召集する臨時国会に備え、党3役人事、内閣改造を行って人心を一新し、新たな布陣で与野党逆転という“ねじれ国会”に臨む意向を固めた。一方の参院第1党となった民主党の小沢一郎代表は与党との対決姿勢を鮮明にしている。与野党逆転で政治は良い緊張感を生むともいわれるが、一国民として期待するのは、諸法案に対し国民を主眼に置いた合意・成立に向けた真摯な対応である。
(2007年8月17日掲載)