薬事ニュース社
オピニオン

>>>「就労支援」と「規制緩和」<<<
 患者団体の人に必要としている政策について話を聞くと、ドラッグラグ、未承認適応の取得、医療費の助成、治療方法の確立に向けた研究への助成、各種審議会への患者代表の参加などに混じって「就労支援」との声を聞く事がたびたびある。「治療のための長期通院で退職を余儀なくされても再就職の道はないに等しい」「現在寛解していても再燃の可能性があるので、難病であることを明かさないわけにはいかないが、明かすと雇ってもらえない」「子供が持病を持つと保育園で預かってもらえないので母親が働けない」「景気が悪いのは分かっているが、働けないと治療費も払えない」などなど。
 昨年4月には、難病患者を雇用した企業に対する助成制度が始まったが機能していないようだ。この制度では、患者がハローワークで難病であることを申告する必要があるが、ハローワーク職員、難病患者双方に周知が不足しているようだ。しかも、景気の状況は2番底が懸念される状況にあり、人口減少による市場縮小もやってくるとあれば、国内よりも成長力のある海外でのビジネスに、企業の期待はかかる。
 与党政治家に聞くと「雇用は民間企業の裁量で行うもの。強制はできない」と冷たい。それはその通りだが、政治に出来ることはないのか?規制緩和によって、移動体通信事業(携帯電話)が誕生し、新たな産業(雇用)が生まれた。最近、すっかり悪者イメージが定着した観のある「規制緩和」だが、使い方によって社会の活性化に繋がるのだが。
(2010年1月29日掲載)