薬事ニュース社
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>>>国産初のコロナ治療薬に目処<<<
 欧米の製薬会社に遅れは取ったものの、日本企業が開発を進めてきた新型コロナウイルス治療薬やワクチンの実用化が加速してきた。塩野義製薬はこのほど、新型コロナウイルス感染症の経口治療薬に製造販売承認を申請した。承認されれば、国内の製薬会社が開発した初めての飲み薬となる。既に製造を始めており、3月末までに100万人分、4月以降は年間で1000万人分以上を生産する予定だという。さらに田辺三菱製薬も、カナダの子会社メディカゴが開発している植物由来のコロナウイルスワクチンがカナダ政府に承認されたと発表。カナダ政府とは供給契約を結んだ。日本では7~9月に承認申請する予定だという。
 またこうしたワクチンなどの開発以外の動きも出てきた。塩野義製薬と島津製作所は下水を分析し、コロナウイルスやインフルエンザなどの感染状況を調べる合弁会社を設立。施設のマンホールや下水処理場などで採取した下水をサンプルとして分析し、ウイルスの量を調べることで感染の拡大や収束の早期把握を目指すという。今後コロナウイルス以外の感染症にも応用していきたい考えだ。
 これからコロナが収束しても、人類が感染症の脅威に晒され続けていくのは間違いない。その対策を社会インフラの一つとして取り入れることは喫緊の課題だ。日本にはその技術力の高さを活かし、世界で存在感を発揮してもらいたい。
(2022年3月4日掲載)