薬事ニュース社
オピニオン

>>>「Floppy?」<<<
 主に赤ちゃんから小児期に発症する難病である脊髄性筋萎縮症(SMA)。これまで根治的な治療法はなかったが、現在新薬の開発が進んでおり、12月から医師主導治験が始まる見通しとなっている。
 このSMAに関するメディアセミナーで、患者のお母さんによる講演があった。生後1カ月健診では「健康」と診断されたが、記載欄には「Floppy?」と書かれていたという。医師からは何の説明もなかったが、気になったお母さんは自分で調べ「衝撃を受けた」と述べた。SMAは筋委縮がみられるため、赤ちゃんの体が非常に柔らかくなっている。その状態を「Floppy infant(からだのやわらかい赤ちゃん)」と呼んでいる。つまり、1カ月健診のときにSMAが疑われたということだ。東京女子医科大学附属遺伝子医療センターの齋藤加代子所長によると、新生児におけるSMAの診断はとても難しいそうだ。「疑わしい」と思ったことは上出来だったのだが、その後の確定診断につながらなかったことが悔やまれる。お母さんはその後大学病院を受診するも問題なしとされ、行きついた東京女子医大でSMAと診断されたという。
 難病や小児がんでは、医療の均てん化は難しいことから集約化が勧められている。しかし、拠点病院が整備されても、速やかに患者がそこに行き付けるようにすることも重要だ。町の産婦人科といったところまでネットワークするような医療連携が必要となる。
(2015年11月13日掲載)