薬事ニュース社
オピニオン

>>>もしもヒルマン監督が病で倒れたら<<<
 まったくの私事で恐縮だが、小学校3年時に「ファイターズ少年ファンクラブ」なるものに入会したのを縁に、以来30年余にわたり日本ハムを応援し続けてきて、本当に久しぶりに勝利の喜びを味わった。この稿を書いている時点では日本シリーズの結果は分からないが、44年ぶり(!)の日本一に期待が膨らむ。ところで日本ハムのヒルマン監督を筆頭に、日本プロ野球界には現在、3人の外国人監督がいる。来年からはさらに1人増えて4人になる。12球団の3分の1のチームが外国人監督の指揮のもとで覇権を争うわけである。グローバル化などと大仰に構えなくとも、勝利という目的の前には国境という壁などもはや無意味なのだ。
 さて、製薬産業界でもグローバル化は最大の関心事の1つ。特に治験に関しては、グローバル治験に日本企業がいかに参画するか、外国人データの受け入れをどう考えるかなどをめぐって、行政・業界を挙げて解決の道が模索されている。
 そこでふと、不謹慎な想像が頭を過ぎる。病はえてして突然に襲い掛かる。ソフトバンクの王監督が典型的だ。もしもヒルマン監督が急病で倒れたら、そしてその治療薬が日本人のデータ不足を理由に国内では未承認の薬であったら、いったいどうなるのだろう、と。外国人データは豊富に揃っている、しかも当の患者は外国人、それでもやはり未承認薬は未承認薬、で押し通さざるを得ないのか。いやいやもっと複雑なのはダルビッシュだぞ、何せイラン人の血が半分流れているからな、などとグローバル化の隠れた一面に思いを馳せつつ、勝利の美酒に酔う秋の夜長である。
(2006年10月20日掲載)