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>>>ユー・チューブの選挙利用の効果は如何に<<<
 無料動画共用サイト「YouTube(ユー・チューブ)」を使った政治的情報発信は、米国ではすでに行われており、候補者が有権者と意見交換を行う新たな試みとして08年、オバマ現大統領が候補者として名を連ねた大統領選の際、話題になった。やはりインターネット母国だけあり、ネット利用の情報発信には一日の長がある。法的な部分は別として、日本でも今、およそ2年遅れで、それに近い動きが出始めている。8月30日の衆議院議員選挙を踏まえた取り組みだが、ネット検索サイトのグーグルでは、衆院選立候補予定者に聞いてみたいことを募集した。7月28日で締め切ったが、寄せられた質問をグーグルで5つに絞り込み、立候補予定者及び政党、政治団体はその質問に答えるビデオを投稿できるというもの。この投稿が、「YouTube」にアップされることで、有権者に直接、ビジョンを交えた語りかけや回答ができるわけだ。
 質問を求めるのは、国民生活全般12項目にわたる。医療は、年金、福祉と同じ括りで質問を募集。質問内容は、細かく見れば様々な視点があるものの、多くは医療崩壊への危機感で溢れていた。その解決のアイデアを質すものもあれば、意訳すると、社会保障に経済性を導入すべきとの持論に同意を求めるようなものまである。5つの質問に絞り込まれるため、「医療」がピックアップされるかはわからないが、国民の関心の高さが垣間見えた点でも興味深かった。
 国民の選挙へのコミットメントに、新たな手段を与えたといえるが、一定の世代では、「テレビ以上に(ネットに)接続している」(メディア定点調査)という昨今、与野党の得票にいかほどかの影響を与えるのではないだろうか。今後、こうした手法も、効果的な政策アピールの走りとなるかもしれない。
(2009年7月31日掲載)