薬事ニュース社
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>>>毎年10月は「臓器移植普及推進月間」<<<
 毎年10月は「臓器移植普及推進月間」だ。これは厚生労働省が定めたものだが、世界的にはグリーンリボンキャンペーンとして臓器移植の普及啓発が期間を問わず行われている。日本では、とくに臓器移植普及推進月間に合わせて、10月にさまざまイベントが展開される。ちなみに、グリーンリボンとは、世界的な移植医療のシンボルで、臓器提供者(ドナー)と移植が必要な患者(レシピエント)のいのちのつながりを表現している。
 臓器提供の意思表示としては、自動車の運転免許証が身近な意思表示だろう。個人的には、これまで「提供しない」という意志表示をしてきた。もちろん「提供しない」という意志表示も、「提供する」意思表示と同等に尊重される。筆者は、自分が死んだ後の臓器が取り出されて、誰かに移植されることに抵抗感があったのだ。
 しかし、そんな考えも、昨年子どもが生まれたことで変わってきた。ニュースでは、我が子の臓器移植手術を行うために募金を集め、海外に渡るというご両親の記者会見をよく見かける。もし、自分の子どもも臓器移植が必要となったら、筆者も同じように募金をお願いし、移植手術を受けに海外へ渡るだろう。そう考えたときに、自分の臓器は「提供しない」でいいのか、というところに行きついたのだ。重ねて言うが、「提供しない」意志表示も尊重される。もうすぐ臓器移植普及推進月間ということで、改めて臓器移植について考えてみたいと思った次第である。
(2015年9月25日掲載)