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>>>患者負担軽減めざし病診連携<<<
 国立病院機構名古屋医療センター整形外科リウマチ科では、患者の通院時間や診療の待ち時間を短縮できるよう、関節リウマチ循環型地域連携パス「らくらくパス」を作成、地域連携の取り組みをしている。「らくらくパス」では、患者は生物学的製剤の導入後、近くのかかりつけ医で投与が受けられ、6カ月ごとの効果判定や胸部CT検査、副作用が生じた場合の対応を名古屋医療センターで対応してもらうことができる。
 患者団体の日本リウマチ友の会がまとめた「リウマチ白書2010」では、生物学的製剤の影響により、寛解したと回答した患者の割合が5年前に行った前回調査と比べ、約2倍の4.3%となった。一方、1回あたりの通院時間も「3~5時間未満」が36.2%で長時間化する傾向にある。「身体や経済的負担軽減のためにも、少しでも通院時間を短縮したい」「らくらくパス」は、この患者の願いに応える取り組みだが、名古屋医療センターには、「生物学的製剤の投与作業が減った分のマンパワーを他の新規患者などに振り向けることができる」など、かかりつけ医側には、「関節リウマチ診療のレベルアップ」「患者からの信頼感アップ」などのメリットがある。
 名古屋医療センター整形外科リウマチ科の佐藤智太郎医師は、連携実現には「不安感を取り除くこと」がポイントだったとし、「副作用発生時にはセンターが受け持つ」と宣言したことが大きかったと振り返る。そのおかげで現在では、関節リウマチへの理解が上がったかかりつけ医が窓口になり早期発見・早期治療が可能になっているという。高齢社会を迎え、慢性疾患患者はもちろん専門性の高い疾患の高齢患者も増える。このような取り組みが増えることに期待している。
(2011年3月25日掲載)