薬事ニュース社
オピニオン

>>>血液製剤の23年度需給計画が変更<<<
 10月の薬食審・血液事業部会において、23年度の「血液製剤の安定供給に関する計画」(需給計画)の一部変更が了承された。この変更は、需要が増加している人免疫グロブリン製剤について、輸入目標量や供給可能量を増量するものとなる。
 人免疫グロブリン製剤の需要増は、適応拡大による使用患者数の増加や、コロナの制限緩和以降に医療現場に患者が戻ってきたことなど、複合的な要因にある。同剤を販売する各社は、安定供給の観点から同剤の限定出荷を行ってきたが、危機感を覚えた一部医療機関が大量購入に走るなどの影響で、多くの医療機関で入手が困難な状況が続いていた。
 需給計画の変更はこうした状況を改善する狙いがあるが、審議で特に問題となっていたのは、供給量の増加分は輸入血漿由来の製剤で全て対応するという点。国内メーカー3社による国内血漿由来の製剤は、既に製造面で限界に達していて対応できないのだという。委員からは国に対して対応を求める意見が相次いだ。
 製造能力の向上には設備投資が必要になる。ただ同剤の薬価は非常に低く、製造販売企業にはこれに対応するだけの利益が出ていないとの指摘もある。厚労省は需要の増加傾向はしばらく続くとみており、必要な増加分は少なくとも数年は輸入血漿由来で対応せざるを得ない状況だという。薬価が絡めば財務省が大きな壁として立ち塞がるが、ここは国民の生命にかかわる大きな問題として、国を挙げて前向きに検討すべきだろう。
(2023年11月3日掲載)