薬事ニュース社
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>>>キセイカイカク会議<<<
 松井証券は、目の肥えた超アクティブトレーダーに顧客を絞り、いち早くオンライントレードに参入。非常識と言われた営業部門廃止や世界初の手数料定額制導入など果断な采配で、一躍業界の雄となった老舗証券会社だ。その松井社長は以前、“革命的”な営業部門廃止の背景を、「インターネット展開により基本的には店舗と人による対面販売が不要となったため」と説明。その思いがあるためか、政府の規制改革会議委員として医療タクスフォース主査を務める同社長は先般、大衆薬のネット販売がテーマの厚労省幹部との公開討論で、大衆薬の対面販売の法定義にこだわった。討論詳細は本紙に譲るが、内容はその点で会議側の苛烈さのみ目立った。委員が「日本語がわかってらっしゃらない?」と役人を揶揄するなど、その舌鋒に遠慮もない。傍聴席のネット擁護派も時折嘲笑を添えるなど、議論の正邪は別として後味の悪い討論ではあった。
 さて、規制緩和を目的とする政府系組織のピークは、聖域なし構造改革を掲げた小泉元総理の総合規制改革会議だろう。委員らによる「既得権益にしがみつくのか」という“伝家の宝刀フレーズ”で、様々な規制に切り込んだ。薬系では、変な医薬部外品を生んだ一方、結果はどうあれ戦後初の大衆薬に係る薬事法改正という力仕事にもつなげた。が昨今は、会議の存在や役割に対する疑問、アンチ小泉路線といわれる麻生総理の誕生、規制緩和の立役者だった小泉元総理の政界引退宣言など、会議に斜陽も射しはじめている。それを思うと、あの苛烈さは、成果が欲しい会議側の悲壮感かとも映る。問題あるルールを矯正して健全にするというよりも、ただのぶっ壊し魔と化しつつある観も呈する。すでに「規制改革」の会議というよりも「気勢か威嚇」の会議になりつつあるか。
(2008年10月24日掲載)