薬事ニュース社
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>>>「保育園落ちた」とHPVワクチン<<<
 厚生労働省のホームページを開くと、真っ先に目に入るのが、赤地に白抜きされた「保育について、あなたの声をお知らせください」の文字だ。「保育園落ちた。日本死ね」と怒りをつづった匿名ブログから始まった待機児童問題が拡大し、安倍首相は国会答弁で「働くお母さんたちの気持ちを受け止め、待機児童ゼロを必ず実現させる」と決意を表明した。このような流れを受け、厚労省は3月22日からHPで「保育制度全般についての改善」と「保活」についての意見募集を開始したというわけだ。
 一連の動きを見ていると、HPVワクチンの予防接種が、積極的勧奨を差し控えた経緯を思い出す。最初は「気持ちの問題」などとして重要視されてこなかった接種後の神経障害だったが、女子中学生のお母さん方の必死な活動によって、積極的勧奨の差し控えという状況に持ち込んだ。厚労省の検討会にお母さん方が大勢詰めかけ、委員たちに訴えている様子が、今でも脳裏に焼き付いている。その様が「保育園落ちたのは私だ」と書いたプラカードを持ち、国会前でデモを行ったお母さん方とかぶるのだ。まさに「母は強し」である。
 HPVワクチンの積極的勧奨の差し控えについては、賛否両論あるところだ。産婦人科学会などは勧奨の再開を求めている。しかし、待機児童問題については、解消を「反対」する意見はないはずだ。集まった意見は、今春とりまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」に反映されるとのことなので、注視したい。
(2016年4月1日掲載)