薬事ニュース社
オピニオン

>>>金欠乏性貧血<<<
 9月6日に開催された第18回DPCマネジメント研究会学術大会において、「なぜコーディングテキストが必要となったか? その意義と目的」の講演が行われた(演者=阿南誠氏・九州医療センター)。「コーディングテキスト」とは、簡単に言えばDPC病院が提出する傷病名コーディングのマニュアルのことだ。講演では、このコーディングテキストが必要となった経緯について説明していたが、その大きな理由は「コーディングミスが多いため」だという。
 例えば「コード9」という問題がある。DPC制度では、疾病の分類方法としてICD-10(国際疾病分類)を用いている。例えば「C16」は「胃がん」を表すが、「C16.1」は「胃底部の胃がん」というようにコンマの後に数字を付けて細分化している。このコンマの後に9を付けると「詳細不明、部位不明」という意味になるのだが、何でも9を付けてしまう問題があるそうだ。手術して腫瘍部位を摘出した胃がんの傷病名に「C16.9」と付けると、「部位不明なのにどこを摘出したのだ」ということになるのだとか。
 また、ICD分類とは別に、医師が医学的判断に基づいた傷病名を記載する欄がある。ここの書き間違いも多いという。一例をあげると、「高血圧」を「抗血圧」、「白内障」を「白内症」、「糖尿病」を「闘病尿」、「鉄欠乏性貧血」を「金欠乏性貧血」などなど。我々文章を書く職業にとっても耳の痛い話である。
(2014年10月17日掲載)