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>>>日本希少疾患コンソーシアムが発足<<<
 このほど日本希少疾患コンソーシアム(RDC Japan)が発足し、先日記念シンポジウムが開かれた。産官学患民の協働によって希少疾患の医学研究と医療サービス開発に挑み、その知見を世界に発信したいとしている。希少疾患は6000種類以上存在するとされ、世界の推定患者数は3億5000人と推定される。一方で国内での希少疾患の定義は「患者数が5万人未満の疾患」で、患者は約600万人いると言われている。日本における課題は、ドラッグ・ラグだ。希少疾患治療薬の開発は欧米のバイオベンチャーが中心で、日本では未承認の医薬品が多い。さらに治療法や薬の開発が進みにくいことや、日常生活で周囲に病気のことを理解されづらいことなど、患者を取り巻く環境は厳しい。
 当日登壇した国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所遺伝子疾患治療研究部長でRDC Japan設立準備委員会代表を務める青木吉嗣氏はドラッグ・ラグの解消には、「日本が得意としてきたクローズドで垂直統合型の創薬開発のビジネスモデルから、国の垣根を越えたオープンな水平分業型への移行が必要不可欠だ」と指摘。さらに開発を促進するためには、「オープンイノベーションによる協力を拡大し、医薬品を作る製薬企業が安心して希少疾患の創薬に参入できるような開発リスクの分散が必要である」との考えを示した。RDC Japan発足を契機に創薬の加速を期待したい。
(2023年8月11日掲載)