薬事ニュース社
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>>>自然災害大国という自覚を、改めて<<<
 12月9日に青森県東方沖で発生したM7・6の地震で、最大震度6強を観測したほか、津波警報が発令されるなど、23時過ぎという夜遅い時間帯に発生した強い揺れは、自然災害には昼夜関係ないことを痛感した。その後気象庁は、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表し、発生から1週間程度は「特別な備え」及び「日頃からの地震への備えの再確認」を実施するよう呼びかけている。夜遅い時間帯での発生であることに加え、季節的にも東北地方は完全な車社会で、避難所に向かう生活者の多くは車を選択。避難に際して基幹道路の渋滞が生じていたことも報告されている。地方都市は完全な高齢社会となっており、自分の足がイコールで自動車となっている実態が存在していることも確かだ。飲酒習慣や服薬後の運転、避難時に自動車をどのように取り扱うのか、差し迫った重大な課題として横たわっている。奇しくも東京都薬剤師会は12月、災害薬事コーディネーターに対して行った備蓄医薬品に関するアンケート結果を公表した。それによると、都内53地区における備蓄医薬品の状況は、20品目以内9、50品目以内13、100品目以内16、101品目以上5となっている反面、10地区で不明・未回答となった。その在庫管理についても地区薬剤師会でストックをまわして対応するところもあれば、廃棄している事例も確認された。アンケート結果では困りごとや要望もまとめられており、災害薬事コーディネーターの人材不足やコーディネーター同士の連携面などを挙げる声も。さらに備蓄医薬品の品目数や選定基準、温度管理、他地区の情報共有などが示され、避難所における医療提供は課題が山積していることが浮き彫りになった。首都・東京ですら、避難所の備蓄医薬品に情報の濃淡が存在しており、地方都市では更に状況が芳しくないことは想像にたやすい。いずれにしても自然災害大国であることを踏まえ、日頃からの備えを充実させていきたいところだ。
(2025年12月19日掲載)