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>>>「ゾコーバ」の一般流通が開始<<<
 新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」の一般流通が開始された。軽症や中等症の患者向けの飲み薬で、1日目に3錠、2~5日目に1錠ずつ服用する。患者にとって治療薬の選択肢が広がることとなる。費用は9月末まで公費で賄うことが決定している。塩野義製薬が公表したデータによると、治験に参加した人の6カ月間の追跡調査において、のどの痛みや倦怠感などの症状が継続するリスクが、プラセボを服用した人と比べて45%減少したという。
 先日開催された東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議では、後遺症の有無などについて聞いたアンケート結果について発表された。そのうち新型コロナに感染した経験があるのは19.6%で、うち「2カ月以上、後遺症を疑う症状があった」のは25.8%となっている。東京感染症対策センターがインターネット上で実施したアンケートで、都民1万429人が回答している。後遺症を疑う症状があったと回答した人のうち、「疲労感・倦怠感」が約半数(51.6%)と最も多く、「咳」(35.1%)、「発熱・微熱」・「たんが出る」(19.9%)、「味覚障害」(16.9%)と続いている。コロナの症状改善後も後遺症に悩まされる人が一定数いることが分かる結果となっている。
 一方で後遺症が起きる原因がはっきりしておらず、治療法も確立されていないのが現状だ。コロナが落ち着きつつあるとはいえ、こうした数字がある中で、「ゾコーバ」の一般流通が開始されたことで、選択肢が広がったことは吉報にほかならない。
(2023年4月7日掲載)