薬事ニュース社
オピニオン

>>>患者≠生活者<<<
 患者団体をサポートしている人から、この数年で患者団体に変化が起きていると聞いた。同じ疾患に苦しむ人達が集まり治療、療養環境の改善などを国に陳情、要望することが多かったのが、他の疾患の患者と連携し、共通の悩み、課題に関して社会に問題提起、提言を行う方向に変わってきたというのだ。この変化を読み解くキーワードが “生活者”だ。患者が生活者に変化したことで、患者団体の行動もクローズドからオープンへ、陳情から提言へと変わった。
 患者(ペイシェント=耐える人)が生活者になるとはどういうことか?疾病に悩まされている人という意味では患者も生活者も“耐える人”だが、生活者という言葉からは“耐える人”というイメージは感じられない。そこにあるのは、権利、責任の主体となって、積極的に生を選び取っていく姿だ。だから、社会参加するために他の患者団体と連携を図るし、行政に庇護を求めるのではなく問題点を指摘し、提言を行うのだ。なにより、生活者となればわれわれと同じ存在だ。われわれも、現在は健康でもいつ病に倒れるか分からない。
 このような生活者に医療はどう接するべきか?提供するサービスの内容、コストをしっかり説明し、生活者自身にサービスを選択してもらわねばならない。他のサービスを購入するとき、契約を結ぶ時は皆そうしているのだから。医師に限らず医療関係者は、そこに思いをいたさなければならない。

(2004年10月15日掲載)