薬事ニュース社
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>>>他社製品を選択肢に<<<
 「急に食べたくなって」と、母親がファミリーマートに冷凍のタッカルビを買いに行ったという。しかし店頭に商品が見当たらなかったため店員に声を掛けたところ、「そこになければセブンイレブンにありますよ」と返されたらしい。ファミリーマートからセブンイレブンへ、思わぬ橋渡しについ笑ってしまった。
 MR認定センターが今年10月、MR教育研修の方向性を定めた「MR認定要綱」を公布した。同センターは、メディアなどで「MR不要説」が騒がれる中、MRの資質や地位向上に向け、2017年より「MR認定制度」の抜本改革に取り組んでおり、21年4月には新たな制度を施行するとしている。同センターが8月に開催した「2020年度教育研修責任者会議」では、近澤洋平事務局長が、「MR不要などと言わないでほしい。我々が矢面に立ちMRを代表して主張していく」とアピールした。
 同会議では、厚生労働省の山本史大臣官房審議官(医薬担当)も講演。「MR不要論」に対し「お門違い」と一蹴し、「医薬品や医療技術は絶えず進化しなければいけない。だからこそMRは重要」と発言。その上で、MRに向けてこのように語りかけた。「患者に最適な医療を実現するため、複数の選択肢を提示できるよう、自社以外の製品にも詳しくなってほしい」と。
 患者にとって選択肢が増えて困ることはない。「自社製品だけでなく他社製品を選択肢に」という視点は、患者ファーストの実現に向けて、重要なキーワードになるかもしれない。冒頭の店員は、いち早くユーザーファーストの姿勢を取り入れているのかしらん…などと考えながらセブンイレブンへ足を運び、冷凍タッカルビを購入した。
(2020年11月20日掲載)