薬事ニュース社
オピニオン

>>>医薬品を巡る広告表現<<<
 「嘘・大げさ・紛らわしい」――。こんな広告に関する情報提供を呼びかけるCMが、いつのころだったかテレビで頻繁に流れていた。実際に広告表現とはなかなか気を使う必要があるようで、例えば「史上初!」「世界最速!」なんて謳い文句をアピールするには「○年○月現在」とか「当社調べ」といった注釈が必ず入る。最近は衝突する直前に自動でブレーキがかかるという自動車のCMをよく目にするが、最後に出てくる注意書きは長文な上にすぐ消えてしまうので、何が書かれているのかいつも最後まで読むことができない。それはさておき、競合他社に負けないユニークな表現を求め、世の広報部やクリエーター達は今日も頭を悩ませているのだろう。
 ただ医薬品に求められる広告はユニークさでも大胆さでもないはずだ。必要なのは正確な情報提供であり、承認を得られた効能・効果をより大きく見せるような表現は許されない。人々の健康と生命に関わる製品である以上、嘘がないことはもちろん誤解を招くおそれはないか、広告作成には慎重に慎重を重ねる必要がある。もちろん世界中のライバル会社と過酷な競争を続ける中で、広告が担う役割の大きさは理解できる。しかしオモシロ広告でアピールするのではなく、誰も実現できなかった画期的な医薬品で世の中をあっと言わせて欲しい。
(2015年6月26日掲載)