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>>>コロナ経口薬が世界初承認<<<
 イギリスの医薬品規制当局は、新型コロナウイルスの増殖を抑えるための経口薬「モルヌピラビル」を承認した。新型コロナの軽症者から中等症の患者向けの経口薬として承認されたのは、世界で初となる。「モルヌピラビル」は米メルク製で、発症初期の患者の重症化を防ぐ効果が期待されている。米国や欧州連合の当局も承認審査に入っていて、年内にも実用化される見通しだ。米国での審査が終わり次第、日本にも申請する見込みだという。
 「モルヌピラビル」はメルクと米バイオベンチャー「リッジバック・バイオセラピューティクス」が共同で開発。臨床試験の結果として、薬を投与したグループでは投与していないグループと比べ、入院や死亡のリスクが半減したという。
 また「モルヌピラビル」は、国連が支援する「医薬品特許プール(MPP)」に製造ライセンスを供与される。各国の後発薬メーカーなどは、MPPを通しライセンスを取得でき、発展途上国向けに安価に生産できるようになる。ワクチン接種率が先進国とそうでない国との間で明確に差がある中、素晴らしい取り組みだと思う。ただ今後、「モルヌピラビル」が国家間で争奪戦になることは想像に難くない。途上国を中心に感染者数はいまだ増え続けているのが現状だ。感染拡大に歯止めをかける切り札となりうる存在だからこそ、この薬を必要とする全ての国と人に届いてほしいと思う。
(2021年11月12日掲載)