薬事ニュース社
オピニオン

>>>タイ 洪水 薬剤師<<<
 先月の上旬、日本薬剤師会主催の「東日本大震災復興祈念式典・シンポジウム」の取材で仙台市を訪れた。発災から7か月近く経っていたこともあり、中心部には震災の爪痕らしきものは見られなかった。むしろ同日に行われた「みちのくYOSAKOIまつり」の熱気のせいか、街は意外と活気づいているようにも見えたほどだ。しかし取材の翌日、仙台駅からバスで西に約30分移動し、津波に襲われた沿岸部を訪れてみると、あまりの何もなさにショックを受けた。
 堤防代わりになったという三陸自動車道をバスがくぐり抜けると、目の前にいきなり地平線が出現する。運転手の話によれば、津波は2階の高さにまで押し寄せたそうで、ほぼ全ての家屋が壊滅したとのこと。今では瓦礫もきれいに撤去されているので、目に入るのは住宅の基礎部分ばかりというのが痛々しい。テレビで映し出された瓦礫の山々も衝撃的だったが、全てが洗い流された後に残った月面のような虚無的風景も、やはり同程度に衝撃的なのだった。
 その後自宅に帰ってテレビを点けると、真っ先に目に入ってきたのはタイの大洪水の報道だった。津波に洗われた風景を目にした直後に、7か月前のような水浸しを見せられるのも何だかシュールな感じだが、しかし東北に押し寄せた水を全て移し替えたかのようなひどい有様は、他人事とは思えなかった。
 取材の内容が内容だったせいか、気になったのは現地の薬剤師の動きだった。今回の震災では薬剤師の活躍が大きな注目を集めたが、果たしてタイではどうなのか。そんなことを考えながらパソコンに「タイ 洪水 薬剤師」と打ち込んでググってみた。案の定、何の情報も出てこなかったが、いずれ調べてみたいテーマではある。災害の種類こそ違うが、今後の震災対策に役立つ何かが隠されているのではないだろうか。
(2011年11月11日掲載)