薬事ニュース社
オピニオン

>>>数字が持つ意味<<<
 「イレッサにしてもタミフルにしても、何人死んだかが先行していて、母数が何人かということが議論されていない」「マスコミは何かあるとゼロリスクを求める」――。ある業界関係者は現在の報道に対して苦言を呈す。
 今はだいぶ落ちつた「タミフル」報道。ただ、3月の緊急安全性情報が出された直後、連日のように「タミフル、○○○人死亡」「異常行動○○○例」などという見出しが各社紙面をおどった。しかしその後、同じインフルエンザ治療薬として使われている「リレンザ」「シンメトレル」においても、異常行動の事例が発生していることが確認されている。
 物事を数字で説明されると、理解がしやすく、説得力もある。また、数字はそのもの自体客観的であり、物事の良し悪しの判断材料ともなり得る。ただ、その一方で、その数字の持つ意味というものはそれぞれ異なることも事実だ。
 「数字は客観的であるかのようで、時として数字のマジックがある」――。ある人はいう。「イレッサ」「タミフル」の安全対策の是非は別として、その副作用の数、さらには昨今、盛んに発表されている大規模臨床試験の結果など、様々な情報が発信される中、その数字がどういう意味を持つのか。その数字から何が言えるのか。当たり前ではあるが、そこが一番重要であることを、今一度気づかせる冒頭の発言だった。
(2007年7月20日掲載)