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>>>立春大吉<<<
 立春は、二十四節気において春の始まりとされる日になるが、2月4日はまさにその日にあたる。現代の2月はまだまだ寒く、雪が降ることもあってか春を感じることも少ないが、よくよく注意してみると、近所の梅が開花していたり、桜のつぼみが膨らみ始めたりと、確実に春は近くにまで来ているようだ。また、都会ではあまり見かけないものの立春にちなんだ風習もまだ日本には残っているようで、禅宗の縁の家では、玄関の外側に「立春大吉」と書かれた厄除けのお札を貼っていたりする。またその日の朝につくった豆腐や生菓子、日本酒などを食べると縁起が良いとされており、これを実践している方もいるようだ。
 新型コロナウイルス感染症が発生してから3度目の立春を迎えたわけだが、未だに終息する気配はない。現在までに治療薬やワクチンがいくつか開発されるなど、当初と比べて環境は大きく変わってきたはずだが、敵もさるものオミクロン株を登場させるなど、人類にとって厳しい状況は続いている。日本においては、外出時のマスク着用は今ではすっかり習慣づいた。昔テレビでやっていた時代劇「座頭市物語」の主題歌の一節には「鼻で知る春、木の芽の匂い」との歌詞がある。この主人公とは境遇は違えども、マスクをしている状況ではこれを実感することも難しく、何とも寂しい限りだ。来年こそは、マスクをせずとも外出ができるようになっていることに期待をしつつ、今日は立春にちなんだ縁起を担ぎたいと思う。
(2022年2月4日掲載)