薬事ニュース社
オピニオン

>>>新薬開発のカギを握るベンチャー企業<<<
 超高齢社会に対応するため「病院完結型」から「地域完結型」医療への転換が求められる中、薬剤師も病院と薬局の連携を図っている。神奈川県や茨城県などでは、薬剤師会と病院薬剤師会が合同で学術大会を開き、2月には千葉県も初めて合同開催した。さらに京都府や兵庫県など一部の都道府県では会の統合が進んでいる。
 「連携」のキーワードを医薬品や医療機器開発の分野に向けるならば、「産学連携」になるだろう。2月に指定品目が公表された医療機器・再生医療等製品版「先駆け審査指定」では、東京大学医科学研究所と第一三共が共同開発予定の「G47Δ(遺伝子ヘルペスウイルス)」など、いずれも大学発のシーズを企業が開発するものが挙げられた。基礎研究を実用化に繋げるのに「死の谷」があると指摘される日本で、一定の成果が出始めているのかもしれない。
 この流れをさらに確かなものとするには、ベンチャー企業がその鍵を握る。新薬創出国のトップを走る米国ではアカデミアと企業の橋渡し役機能をベンチャー企業が果たしているが、日本では資金や人材確保などの面で遅れがある。そこで厚生労働省は医療系ベンチャーを育てる好循環(エコシステム)の確立を目指し、「医療のイノベーションを担うベンチャー企業の振興に関する懇談会」を昨年末に立ち上げて議論を開始した。後発医薬品の数値目標が引き上げられるなど、新薬開発を取り巻く環境が大きく変化する中で、ベンチャー企業の活躍を後押しする施策に期待したい。
(2016年3月4日掲載)