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>>>トランプラリーとヘルスケア<<<
 11月9日、米国の大統領選挙の開票速報でドナルド・トランプ氏有利の情勢が示されると、世界の金融市場が混乱。日経平均も急落し、一時1000円超下がる状況となった。しかし、トランプ氏が第45代大統領に決まると、米国株は大幅に上昇。「トランプショック」は「トランプラリー」と名を変えた。日本市場もこれにあやかり、現在も堅調に推移している。
 インフラ投資などトランプ氏の政策で恩恵を受けそうな銘柄が買われる動きとなった。ヘルスケア分野もその一つだ。大統領選翌日、ヘルスケアはS&P500指数で3.4%上昇し、個別銘柄ではファイザーが7.1%、米メルクが6.1%上昇した。日本の医薬品業界も恩恵(?)を受け、武田薬品は5.2%、アステラス製薬は5.1%、第一三共は6.8%の上昇。「オプジーボ」の薬価50%引き下げ問題の渦中にいた小野薬品工業も6.5%上昇した。日米以外の製薬企業も上昇傾向を示したようだ。ノバルティスは4.4%、ロシュは5.2%、サノフィは5.8%上昇。EUを離脱する英国のグラクソ・スミスクラインも2.7%上昇した。
 トランプ政権の誕生により、経済・外交の先行きが不透明になったとの見方が強い。また、トランプ氏の政策は「劇薬」だと評する声もある。しかし、それは近年の分子標的薬のように、効く人にとっては劇的に効く薬なのかもしれない。
(2016年12月2日掲載)