薬事ニュース社
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>>>問われる日薬の情報発信力<<<
 「何故あそこまで言われなければならないのか」「はっきり言って日薬は舐められている」――。大阪で開催された日本薬剤師会学術大会。日本医師会の鈴木邦彦常任理事による特別講演の終了後、日薬会員の間では冒頭のような意見が飛び交っていた。
 本号に掲載した通り、鈴木常任理事は講演で調剤医療費の伸び率を皮切りに、現在の医薬分業に対して大々的な批判を展開した。特に突出した調剤医療費の伸び率に関しては、診療所よりも薬局の方が収益を挙げているとして、「母屋(医師)では粥を啜っているのに離れ(薬剤師)ではすき焼きを食べている」と糾弾。この発言はツイッターなどでも頻繁に取り上げられ、日薬会員だけでなく業界全体の間で話題となっている。
 だが、日薬関係者の間では「日薬執行部は明確な反論を繰り出せていない」という声が多い。ある関係者は「水面下での交渉などはもはや意味を持たない。中央社会保険医療協議会など公開の場で堂々と反論すべきだ」と憤るが、実際には医師委員の主張に埋没しているのが現状だ。
 「顔が見えない職業」「調剤室に籠っている」などと評される薬剤師。日医だけでなく、病院団体や保険者団体からも険しい視線が投げかけられるなか、薬剤師を取り巻く環境は厳しさを増しつつある。薬剤師の代表団体である日薬の情報発信力が、今まさに問われている。
(2013年10月11日掲載)