薬事ニュース社
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>>>募る行政への不満<<<
 薬局・薬剤師の間で後発医薬品をはじめとする流通問題に関して、厚生労働省の認識に対して不満が高まっている。ひとつの大きな引き金となったのは、11月2日に厚生労働記者会で行われた医薬・生活衛生局総務課の田中徹課長への共同インタビューだ。田中課長は長引く医薬品供給問題に対して、薬局間で在庫を調整し、うまく対応することなどを求めた。この発言に対してSNS上では多くの反論が示され、炎上状態に。多くの意見は「それくらいのことは既に数ヶ月以上前から実施している」、「現場をいかに調べていないかが露見した」などで、監督官庁による他人事のような言葉に怒りを滲ませている。奇しくも同日に開催された社会保障審議会医療部会においても似たような出来事があった。会議では「令和4年度診療報酬改定の基本方針」が議題になり、その中で記載された文言に薬剤師会が噛みついた。薬剤師委員である安部好弘・日薬副会長は「『安定確保に留意しつつ』との記載であるが、今現場で起こっている医薬品供給不安はまるで他人事。苦労が全く反映されていない。この書きぶりは率直に言って遺憾だ」と話し、文言の差し替えを迫った。厚労省側も表現の見直しを約束するなど、薬剤師委員の気迫に呑まれた格好だ。薬剤師会幹部は「問題解決に魔法の杖は無い」と越年確実の情勢にため息をつく。小林化工問題が発生してからもう少しで1年が経過する。薬剤師に「物から人への業務転換」を求めた最中の出来事としては、あまりに皮肉だ。
(2021年11月19日掲載)