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>>>24年度薬価改定と診療報酬改定<<<
 財務省は11月1日の財政制度等審議会・財政制度分科会で、2024年度薬価改定・薬価制度改革や診療報酬改定に向けた改革案を示した。薬価関連では、「イノベーションの適切な評価とともに、長期収載品などの自己負担のあり方を見直す必要」との方向性を提示。国民皆保険の持続可能性とイノベーションの推進を両立しながら、長期収載品に依存しない研究開発型企業の転換を促していくため、「新薬のライフサイクルに着目しつつ、薬価制度のあり方を見直していく必要がある」と主張するなど、例年とは異なるトーンに留まっている。
 財務省は提出資料で、薬剤費の現状について「薬剤使用量の増加や新規医薬品の保険収載などで薬剤費総額は年2%程度増加しており、高齢化の進展でさらなる薬剤費の増加が見込まれる」と分析した上で、薬価改定に対する考え方として「毎年薬価改定を着実に実施し、国民皆保険の持続可能性確保とイノベーションの推進を両立させる配分の見直しなどを行う必要」と整理した。新規収載時のイノベーションを適切に評価するとともに、長期収載品の自己負担のあり方の見直しを併せて進めていく方針を改めて打ち出した形だ。
 一方、診療報酬改定に対しては踏み込んだ表現で提示した。診療報酬本体の「マイナス改定」を迫り、特に診療所に対しては「極めて良好な経営状況」にあるとして技術料引き下げを提言。具体策としては▽診療コストにきめ細かく対応する地域別単価の検討▽マイナ保険証利用時の患者負担の軽減▽「リフィル処方箋」の利用実績を踏まえた調整措置――を掲げた。
 このうち「リフィル処方箋」を巡っては22年度改定での大臣合意で、導入・活用促進による医療費効率化効果を▲0.1%(医療費470億円程度)と見込んでいたが、財務省は日本保険薬局協会の調査結果を踏まえ「医療費効率化効果は年間▲70億円程度(改定率換算で▲0.014%程度)に留まる」と問題視。リフィル処方箋の導入・促進による医療費適正化効果が達成するまでの措置として、処方箋料の時限的引き下げも要求している。
 診療所に対する圧力が強まるなか、11月10日の中央社会保険医療協議会・総会では、「外来」をテーマにした議論が行われ、処置や検査などを行わずに計画的な医学管理を行った場合に算定する再診料の加算「外来管理加算」(52点)を巡り、支払側委員が「廃止」を主張。これに対して診療側委員が「暴論だ」として一斉に反発するといった激論が繰り広げられた。次期薬価改定・診療報酬改定を巡る動向に注目が集まっている。
(2023年11月17日掲載)