薬事ニュース社
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>>>薬剤師の「春」<<<
 春である。「春の嵐」という小説もあるが、薬局・薬剤師にとっては、まさしく「嵐」を予感させる 04 年度の幕開けとなった。厚生労働省医薬食品局が4月から、ほぼ2年間を費やして「医薬品販売のあり方」を検討し、薬事法改正により販売体系を抜本的に見直すことをぶち上げたのだ。医薬食品局の阿曽沼慎司局長は、検討の目的について「(薬剤師に替わる)新たな資格創設を前提とした議論ではない」としつつも、JACDSが提唱する「一般用医薬品販売士」も「当然、検討の対象になる」と明言している。これまで「既得権益」に守られてきた薬剤師も、いよいよ他産業並みの「競争場裡」に引きずり出されることになるのか。
 折りしもこの春には、薬剤師会にとって長年の悲願だった薬学教育6年制の実現が確実になった。その矢先のニュースだけに、朗報に水を差されたと感じる薬剤師もいるかも知れない。しかしこの2つは、同一線上の問題と認識すべきだろう。問われているのは医療人としての「責任」だ。教育年限の2年間延長に付随して、必然的に増す医療人としての「責任」、そして規制緩和議論のなかで 1 度ならず指摘されてきた、大衆薬販売における薬剤師の「役割・責任」と、その現実とのギャップ……。医薬分業の普及に伴い、「薬剤師の役割・責任」は、これまでも度々クローズアップされてきた。そして今回の販売体制の検討。薬剤師はこれに応えることができるのか。

(2004年4月9日掲載)