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>>>英雄死す<<<
 希代の名馬ディープインパクトが7月30日、17歳でこの世を去った。頸椎の骨折が原因ということだが、早すぎる死に大きなショックを受けた。ディープインパクトは史上2頭目の無敗の三冠馬で、天皇賞(春)、ジャパンカップ、有馬記念などGIを7勝した。総収得賞金は14億5455万1000円で歴代3位。記録にも記憶にも残る英雄である。
 ディープインパクトは父・サンデーサイレンスと母・ウインドインハーヘアとの仔だ。サンデーサイレンスは日本競馬を変えたといわれる大種牡馬で、産駒がデビューした1995年から13年連続でリーディングサイアー(種牡馬として年間獲得賞金額最多)に輝き、母の父としての同順位も2001年から昨年まで13年連続で1位となっている。ディープインパクトはサンデーサイレンスが亡くなった02年に生まれた、最後にして最大の大物でもある。
 父なき後の日本競馬において、ディープインパクトは種牡馬として大きな期待がかけられた。その期待にたがわぬ成績を残し、12年から昨年まで7年連続でリーディングサイアーとなり、キズナやマカヒキなど5頭のダービー馬、GIで7勝を挙げた名牝ジェンティルドンナといった多数の有力馬をターフに送り出している。ダービー5勝をはじめ、産駒は中央平地GIを49勝したほか、海外でもGIを12勝。父が世界レベルに押し上げた日本競馬のさらなる発展に大きく貢献し、父に劣らぬ成績を残している。種付け料は18年以降4000万円に上がっていた。
 種牡馬として結果を出すにつれて、海外の大馬主が種付けするために名牝を日本に連れてくるほど、その血は世界に求められていた。こうして振り返ると、競走馬としても種牡馬としてもディープインパクトは間違いなく日本産馬の最高傑作と断言できる。その偉大な血は世界中に受け継がれていくはずだ。
(2019年8月23日掲載)