薬事ニュース社
オピニオン

>>>記録的な円安<<<
 円安が進んでいる。一時1ドル151円台と、約32年ぶりに円安水準を更新した。今年1月の時点では、115円台。つまり1年足らずでドルに対して、35円近くも値下がりしたこととなる。経済の仕組みや政策などにはあまり明るくないが、それでも異常なペースだということは分かる。円安のメリットは、海外に輸出した製品の値段が安くなるため売り上げの増加が見込める。また外国人観光客を呼び込み、インバウンド需要が拡大することになる。一方でデメリットとしては、輸入品の値段が高くなることだろう。
 ただここまで円安が進んでしまうと、多くの物を輸入品に頼っている日本にとってはデメリットのほうがはるかに大きいようだ。例えば生活に直結する食品関連が大きな影響を受けていると、個人的にも肌で感じている。ロシアのウクライナ侵攻以降、原油などのエネルギーや穀物など、原材料価格は高止まりしているが、そこに円安が加わり、ダブルパンチとなってしまっている。
 当然製薬産業にとっても、原薬の価格や様々な原材料費が上昇しているのだから、大きな影響があるはずだ。普通の商品だったらコストが上がった分、価格に反映すれば良いが、公定価格が決まっている医薬品はそれができない。こうした流れが止まらなければ、医薬品の研究開発は日本では行わないということにつながりかねない。ドラッグラグの再燃が懸念されているが、もう一つ円安という悩みの種が生まれてしまったように感じる。
(2022年10月28日掲載)