薬事ニュース社
オピニオン

>>>時限的・特例的措置の見直しの必要性<<<
 長引くコロナ禍で、政府の規制改革推進会議の影響力が強まっている。医療業界において最も象徴的な取組みとして挙げられるのはオンライン診療・服薬指導の実質的な全面解禁だ。2020年から猛威を振るう新型コロナウイルス感染症への対応から、同年4月10日より「時限的・特例的な措置」としてオンライン診療が認められ、それに伴うオンライン服薬指導もスタートしている。ただ、「時限的・特例的」という措置が2年間も継続していることに対する違和感は否めない。奇しくもその影響が受けているのが、先ほどまとめられたオンライン診療の指針で、「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」において、初診からオンライン診療を実施するための整理が行われたが、「時限的・特例的措置」が稼働しているのため、指針の運用開始時期が不明といういびつな状態に陥っている。さらに指針の見直しの際に構成員から問題視されたのがこの「措置」には電話診療が含まれていることだ。言わずもがな、音声のみによる診療と映像・音声を用いた診療では情報量で相当の差が生じる。振り返れば、この措置を導入するにあたって開催された前出の検討会では、120分の会合のうち100分までは初診からのオンライン診療は見送られる大勢となっていたが、規制改革推進会議側の委員により、パンデミックを踏まえたオンライン診療導入の意義に対し、医療者側が大幅な歩み寄りをみせた。今後も同診療を国民に有益な診療体制として稼働を目指すのであれば、厚生労働省はもちろん、措置を誘引した規制改革推進会議側からも見直しの意見が出て然るべきではないだろうか。
(2022年3月11日掲載)