薬事ニュース社
オピニオン

>>>情熱だけではどうにもならない<<<
 内閣府の「社会保障制度に関する特別世論調査」によると、現在の社会保障制度に「不満」な人は75.7%に上る。厚生労働省の「2007年国民生活基礎調査」によると65歳以上の高齢者が高齢者を介護するいわゆる「老老介護」の割合は、親族が同居して在宅介護を行っている世帯の推計47.6%に上った。また、東京・新宿区の戸山団地では65歳以上の住民が半数を超え、高齢化率トップの群馬県南牧村並みの「限界集落」が都心に生まれた――など、4人に3人が不満を持つ現状を裏付けるようなニュースも続いている。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、05年と比べた35年の老年人口(65歳以上)の増加率は、東京、埼玉、神奈川、千葉の4都県とも60%を超えている。地方ではすでに一定の高齢化が進んでいるが、団塊の世代の高齢化とともに首都圏の高齢化はこれから進む。戸山団地は特殊例ではなく、その始まりに過ぎない。
 介護現場では、低賃金を理由に労働を継続できない人が後を絶たないと聞く。医師不足でもそうだが、個人の情熱や責任感、使命感に頼るところが大きい仕事場では、いつか疲弊する。ドラッグラグについても、「生命関連製品だから早く治験をして申請しろ」と求めるだけではメーカーにとって酷というものだ。介護が続けられる、医師不足が解消できる、早期開発したくなる、環境作りが必要だ。
 自民党では総裁選真っ只中だ。各候補者の社会保障への考え方をじっくり聞いてみたい。
(2008年9月19日掲載)