薬事ニュース社
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>>>ギャンブル依存症は感染しません<<<
 感染症が拡大している。西アフリカを中心に発生したエボラ出血熱が猛威を振るい、まだ開発段階にある未承認薬の投与という超法規的措置まで取られたものの、死者はすでに2000人を超えた。国内メーカーが開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名・ファビピラビル)に期待する声もあるが、いまのところ有効な治療法は確立されていない。
 海外だけではない。国内でも、8月末にデング熱の国内感染症例が戦後初めて確認された。デング熱は、蚊を媒介とするウイルス性の熱性疾患で、突然の発熱や頭痛、関節痛などが主な症状。人から人への直接的な感染は無いが、いまのところ有効な治療法もない。国内では過去60年以上感染報告がなかったが、海外で感染し、帰国後の潜伏期間を経て発症する、いわゆる「輸入症例」が最近は200例ほど報告されていた、というのが一応の資料的説明だが、まさか国内でこれほど感染者が増えるとは、しかも、代々木公園というごく身近な場所で感染するとは、というのが多くの人の率直な感想だろう。日々、洪水のごとくに発信される医療情報に接しているとつい忘れがちだが、世界には未だ克服されない疾病が多数存在するのだということを、改めて思い知らされる。
 ところで、こちらは少々趣を異にする「病気」である。厚労省研究班の調査によると、国内の成人の4.8%、推計536万人に「ギャンブル依存症」の疑いがあるという。これは、諸外国の結果(米国1.58%、仏1.24%、韓国0.8%など)と比べても際立って高い数字で、数字の根拠をめぐって賛否はあるようだが、折りしも秋競馬が佳境に入るシーズン、年末までのおよそ3か月間は週末ごとにJRA銀行に稼ぎを吸い取られるのが年中行事の身としてはいささか気になる調査ではある。とまれ、これを克服されない疾病のひとつに数えていいのかどうかは定かでないが、感染の危険は(多分)少ない、はずである。
(2014年9月26日掲載)