薬事ニュース社
オピニオン

>>>医師を信頼する患者のアドヒアランス<<<
 人間用のレントゲン検査機の利用は不可能なことから、動物用の検査機を利用するよう医師から指示された体重200Kg超の肥満男性が、プライドを傷つけられたとして検査を拒否しているうちに死亡したとの海外ニュースがあった。命を救おうとしている医師の指示に患者が従わないのでは、医療機関を受診する意味がないように感じる。
 患者が積極的に治療法や治療方針を理解するとともに決定にも参加し、能動的に治療を行うアドヒアランスの重要性が見直されている。冒頭の例は極端だとしても、患者の中には意図的に薬の服用を中止する人がいるとは、よく聞く話だ。意図的に服薬を中止した理由は、「症状が改善したから」「副作用が心配だから」など、自身の判断によるもが最も多いという。また、担当医とのコミュニケーションが良好ではない患者は、意図的に服薬の指示に従わない割合が高いという。
 厚生労働省が発表した2008年受療行動調査の概況では、外来患者の診察時間が、「3分未満」13.6%(前回調査の05年から2.8ポイント低下)、「3分以上10分未満」53.4%(同2.8ポイント上昇)、「10分以上20分未満」16.4%(同2.4ポイント上昇)と診察時間は長くなった。また、病院に対する全体的な満足度も4.2ポイント上昇の58.0%となり、医療従事者の努力が伺える結果となった。医師と患者の間に、信頼関係の醸成ができているかどうかを数字から判断するのは難しいが、患者満足度が向上しているのは良い傾向といえる。まだまだ医師、患者ともに努力は必要だろうが。
(2009年11月13日掲載)