薬事ニュース社
オピニオン

>>>謹賀新年<<<
 2009年を迎えてもなお、アメリカにおけるサブプライム住宅ローン問題に端を発した世界的規模での金融資本市場の混乱は未だに続いている。日本におけるこの問題での被害は比較的少ないといわれているものの、株価の低迷、円相場の激変など、日本企業の経営や一般国民の生活にも多大な影響を及ぼした。
 もっとも、サブプライム住宅ローン問題だけが、今の日本を覆う不況感の原因ではない。政権を奪われまいと足掻きつづける与党と、政権交代の千載一遇のチャンスとばかりに対決姿勢を崩さない野党との争いは、衆議院の解散、ひいては政界再編の話題が中心となってしまっており、国民のためであるべき政治の停滞を引き起こしている。生活基盤が崩壊した影響で多くの生活弱者が生まれ、困窮している姿がこの年末年始に多く報道されていた。国を最後の拠り所として救いを求める彼らの姿は、最早他人事ではない。国民生活を支えている筈の社会保障も、どこかおかしい。年金問題は未だ解決の道筋は見えず、産科や小児科、救急救命に象徴される医療の崩壊は止まらない。
 日本漢字能力検定協会が昨年発表した2008年の世相を表す漢字は、「変」と決まった。振り返ると、08年は望まない「変」化があまりにも多かったように感じられる。謹賀新年。喜んで新年を迎えることができない人も多いだろう。しかし、生きていればこそ迎えることができる新年。よい一年となるよう切に願う。
(2009年1月16日掲載)