薬事ニュース社
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>>>“安倍漢方薬”に使用上の注意<<<
 「小泉さんは劇薬、私は漢方薬」。安倍総理は今国会中、自身と小泉前総理との政策スタイルの違いをこう比喩した。
 小泉前総理はマイナスの影響も承知のうえでドラスティックな改革をトップダウンで次々と進めていった。安倍総理はそのやり方を劇薬と称し、小泉流の対称にある慢性疾患用で非対症療法アイテムとしての漢方薬を、自らのイメージに当てはめたようだ。そうすることで、小泉後継総理である類似性と、安倍政権としての差別化を明示したのではないか。
 漢方薬は一般的に長期に服用し続けることで体質を改善し、長く患っていた病気や身体の不調を改善するというイメージが強い。そのため副作用もなく安心だとされる。一方、切れ味のいい“コイズミ内服薬”では当然、副作用も覚悟しなければならない。事実、規制緩和や種々システムの改正では、ある部分にはよく効いたが、ある部分は未だに副作用に悩んでいるといったことでもそれを表している。医療、医薬分野でも、長い間既得権益に守られ、手つかずで古臭いシステムのまま、時代にそぐわなくなってきていたものに効能効果を発揮したが、一方で結果として市場経済重視が強すぎて副作用に苦しんでいる面もある。例えば3期6年の診療報酬マイナス改定が行われた結果、地域の医療提供体制が崩壊の危機に直面しているといった具合だ。安倍総理の「漢方薬宣言」は、小泉前総理が遺したそうした負の面を、自身自ら緩和させる意気込みを示したものとも受け取れる。
 しかし漢方薬の中には、かぜに対する「葛根湯」など即効性のあるものもあり、使い方を間違えると副作用がでるおそれのあるものもある。今後の“安倍漢方薬”が、服用方法を間違いないように投与することができるか。
(2007年4月27日掲載)