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>>>彷徨うHPVワクチンの是非<<<
 子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の接種後に生じる慢性疼痛などの副反応を、厚生労働省の検討会が「心身の反応」によるものと整理して以来、積極的な接種勧奨再開の是非の結論は未だに出ていない。日本産科婦人科学会などは早期再開を求める一方、自民党議員からも慎重な対応を求める意見が出ており、再開は不透明な状況だ。
 厚労省の検討会ではHPVワクチン接種後の副反応について、接種の強い痛みと不安などがきっかけで「心身の反応」を引き起こし、全身の痛みや運動障害として現れたとの見解で一致。副反応の発生を抑えるポイントは強い痛みが生じやすいワクチンであることや接種のメリットなどに関する説明と納得が重要としている。
 ところが「心身の反応」という見解が「副反応は気のせい」との受け取り方につながり、被害者や保護者の間に反発が広まっている。自民党内で開催された勉強会でも「心身の反応では説明できない」「希望者に限定すべき」などの慎重論が相次いだ。
 予防接種法改正案を巡る国会の議論では、ワクチン・ギャップ解消に向けてほとんどの議員が賛成したはずだが、有権者にどう説明しているのか気になるところだ。ただ、検討会で座長を務める桃井眞理子氏も心身の反応は「一般には理解されにくい」との考えを示していたが、納得できる説明が用意できない限り不安は解消されず、副反応が起きる負のスパイラルはいつまでも断ち切ることはできない。
(2014年6月6日掲載)