薬事ニュース社
オピニオン

>>>この3ヵ月~世界の終わりまで<<<
 およそ3ヵ月ほど前から目に付くこと――夜の繁華街や地下鉄がほの暗くなった。「節電中」の張り紙。〝思いやり〟の空気感がさりげなく蔓延。時に心に重石が積もり、時に希望の灯が見られる被災地情報。「自分には何ができるのだろうか?」という自問自答シーン。「日本は一つ」のスローガン。原子力発電所内部の見取り図。東北太平洋側の海岸線地図。「お一人様1本に限ります」の注意書き。人との絆を保ちたいとの思いからか、結婚相談所への照会が急増。関連して、昔ながらの横丁風居酒屋が人気。他人との共感=一体感を求める傾向に。
 米国では9・11以後、顕著にセキュリティ強化・監視体制が加速化した。空港における厳重な検査、特定の宗教・人種への不寛容……。その一方、身近なものや身近な人への触れ合いを求める風潮が強まった。これは日米で同様の現象か。
 ところでマヤ文明の暦の大きな区切りが2012年に相当するということから、来年末に世界の終末が訪れるのではないか、という説がある。このご時世、「終末論」は良からぬ企てを謀る者にはまたとない商機になるだろうが、実現するなら大イベントだ。現時点で日本の国づくりの理念は〝最小不幸社会の実現〟だという。人によって不幸に大小があるからこそ人は本当の不幸に陥るのだから、〝最大の不幸〟が平等にやってくる世界の終わりにおいて、世界と運命を一蓮托生となれば、それこそ「真の一体感」が得られる時ではないか、と不謹慎ながら思う。実際の来年末は、復興も進み、なおかつ一体感に包まれた日本であることを信じながら。
(2011年6月3日掲載)