薬事ニュース社
オピニオン

>>>季節感のトレンドはどうなる?<<<
 日本における「風邪の季節」とは、普通11月から翌年の3月くらいまでのことを言う。大体乾燥して寒い時期がそれに相当するのだが、個人的にはどうも最近、春や夏でも関係なく風邪を引いてしまうようになったと感じる。免疫力が低下したとか、窓を開けたまま眠ったなどの個人的な落ち度によることもあるが、目まぐるしい温度差など気候の変動もその原因に挙げられそうだ。昭和時代には、今年みたいに猛暑が続かなかったし、雷雨・豪雨も頻度は少なかったはず。日本の気候のメカニズムが大分変わってきている。季節の旬のものも、そのうちサイクルがずれてくるに違いない。先日定食屋で旨い米を食べたのだが、北海道産だという。どうやら従来の新潟産のブランド米を脅かす程の存在らしい。旨い米の産地が北上しているのだろうか? また、見たことのない南国産の昆虫が日本に上陸したり、佐渡島でみかんが出荷されたり、ワインの産地がイタリアや南仏からイギリスにまで北上してきたりと、緯度の低い方から高い方へ―というトレンドのものが多くなりそうな兆し。文明の発祥地はメソポタミアやエジプトなどだったが、文明の中心はその後ギリシャ~ローマへ、一方では現在の中国北部へ、さらに西欧、北米などへと、これも時代が進むにつれ緯度の高い方へ進展していっている。温暖化が進み北極の氷が融けるような半世紀ほど先の未来では、北極圏が活気のあるフロンティアになるのでは――という説もある。大きな尺度で考えれば、何事も一定ではない。地球にだって氷河期があったし、黎明期には火の球として燃え盛っていた時期もあっただろう。ただ自分が生きているうちは、夏に蝉の鳴き声を聞き、冬の初めには、くしゃみの一発でもかましていたいものだ。
(2013年11月1日掲載)